ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症は、ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus)によって引き起こされる感染症の総称です。HPVは非常に一般的なウイルスであり、多くの異なる型があります。これらのウイルスは、皮膚や粘膜に感染し、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。
主な特徴と症状
- 性器いぼ(尖圭コンジローマ):HPVの低リスク型(特にHPV6およびHPV11)が引き起こす。性器や肛門周囲に小さな突起物(いぼ)ができる。痛みやかゆみがある場合もありますが、無症状の場合も多いです。
- 子宮頸がん:HPVの高リスク型(特にHPV16およびHPV18)が長期間にわたって感染すると、子宮頸がんを引き起こすことがあります。初期の感染は通常無症状ですが、がんの進行とともに異常出血や骨盤痛などの症状が現れることがあります。
- その他のがん:HPVは肛門がん、外陰がん、膣がん、陰茎がん、口腔咽頭がんなども引き起こすことがあります。
HPVの感染経路
HPVは主に性的接触を通じて感染します。性行為だけでなく、性器同士の接触や皮膚と皮膚の接触によっても感染することがあります。
診断
- パップテスト(子宮頸がん検診):子宮頸部の細胞を採取し、異常細胞の有無を調べる検査です。(当院では行っていません)
- HPV検査:子宮頸部の細胞を採取し、HPVの有無を調べる検査です。(当院では行っていません)
- 視診:性器いぼが見られる場合、視診で診断されることが多いです。
治療
HPV感染自体には特定の治療法はありませんが、感染によって引き起こされる症状や合併症に対する治療が行われます。
- 性器いぼの治療:クリームやゲルの外用薬、凍結療法、レーザー治療などが用いられます。
- 異常細胞の治療:子宮頸がんの前がん病変の場合、異常な細胞を除去するための手術が行われることがあります。(当院では行っていません)
- がんの治療:がんが進行した場合、外科手術、放射線療法、化学療法などが用いられます。(当院では行っていません)
予防
- HPVワクチン:HPVワクチンは、HPVの感染を予防する最も効果的な方法です。ワクチンはHPVの最も一般的な高リスク型と低リスク型の両方に対して効果があります。(当院ではシルガードのワクチン接種を行っています。)
- コンドームの使用:コンドームを正しく使用することで、HPV感染のリスクを減少させることができます。ただし、コンドームがカバーしていない部分にウイルスが存在することがあるため、完全な予防はできません。
HPV感染は非常に一般的であり、多くの人が生涯に一度は感染する可能性がありますが、多くの場合、免疫システムがウイルスを自然に排除します。予防と早期発見、そして適切な治療が重要です。