マラセチア毛包炎(まらせちあもうほうえん)は、マラセチア菌という真菌(カビの一種)が毛穴(毛包)に感染して起こる皮膚疾患です。この菌は皮脂を好み、皮脂の分泌が多い部位で増殖しやすいため、顔や胸、背中、肩などに発症することが多いです。特に思春期以降の皮脂分泌が活発な時期に見られやすく、ニキビと似た見た目になるため、誤認されることもあります。
マラセチア毛包炎の特徴
- 小さな赤い丘疹(発疹):ニキビのように赤く盛り上がった発疹が多数できることが特徴です。
- かゆみ:かゆみを伴うことが多く、通常のニキビと異なるポイントです。
- 分布:胸、背中、肩、首などの皮脂が多い部分に好発します。顔にできることもあります。
- 悪化要因:汗をかく季節や高温多湿の環境で悪化しやすいです。
マラセチア毛包炎の原因
マラセチア菌は皮膚の常在菌で通常は無害ですが、汗や皮脂の増加、免疫力の低下などの要因によって異常増殖し、炎症を引き起こします。
- 皮脂の分泌:皮脂を栄養源とするため、皮脂の分泌が多い部分で増殖しやすいです。
- 高温多湿:高温多湿の環境はマラセチア菌の増殖を助長します。
- 免疫力の低下:体調不良やストレス、免疫系の低下があると感染しやすくなります。
- 抗生物質の使用:長期間の抗生物質の使用は、皮膚のバランスを崩し、真菌が増殖しやすい環境を作ることがあります。
マラセチア毛包炎の治療法
マラセチア毛包炎の治療は、真菌を抑えることが主になります。抗生物質は効きにくいため、真菌に対して効果のある治療が必要です。
- 抗真菌外用薬:抗真菌成分を含むクリームやローションを患部に塗ることで、マラセチア菌の増殖を抑えます。
- 抗真菌シャンプー:抗真菌成分を含むシャンプーで体を洗うことで、広範囲にわたる感染に効果的です。
- 経口抗真菌薬:症状が重い場合や広範囲にわたる場合には、内服薬で真菌の増殖を抑えることもあります。
- スキンケアと清潔保持:皮脂を過剰に残さないようにしつつ、肌を清潔に保つことが重要です。
日常生活での予防とケア
- 汗をかいたら拭き取る:運動や入浴後は、清潔なタオルで汗をすぐに拭き取りましょう。
- 通気性の良い衣服:汗を吸収しやすく、通気性の良い素材の衣服を着用することで蒸れを防ぎます。
- 低刺激のスキンケア:肌に優しい低刺激の製品を使用し、皮脂のバランスを保つように心がけます。
- ストレス管理:ストレスをためないことも、免疫力を保つために役立ちます。
マラセチア毛包炎は再発しやすいため、治療後も予防と日常のケアを続けることが大切です。