伝染性軟属腫

伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)は、ポックスウイルス科に属する伝染性軟属腫ウイルス(Molluscum contagiosum virus)によって引き起こされる皮膚感染症です。以下に伝染性軟属腫の主なポイントを説明します。

特徴

  1. 外観: 小さくて丸い、真珠のように光沢のある皮膚の隆起(丘疹)が特徴です。中央にへこみ(臍部陥凹)が見られることが多いです。
  2. 大きさ: 丘疹の直径は2~5ミリメートル程度ですが、時には大きくなることもあります。
  3. : 白色、ピンク色、または肌色です。
  4. 数と分布: 一つの部位に多数の丘疹が集まって現れることが多く、顔、体幹、四肢、特に脇の下や内腿などの柔らかい皮膚に発生しやすいです。

原因

  1. ウイルス感染: 伝染性軟属腫ウイルスは、直接接触や汚染された物品(タオル、衣服など)を介して伝染します。
  2. 免疫力: 免疫力が低下している人(子供、免疫不全患者)は感染しやすいです。

症状

  1. 無痛性: 丘疹は通常、痛みを伴いませんが、かゆみを感じることがあります。
  2. 炎症: 丘疹が炎症を起こすと、赤く腫れることがあります。
  3. 二次感染: 丘疹を掻き壊すと、細菌感染を引き起こし、膿が出ることがあります。

診断

  1. 視診: 特徴的な丘疹の外観から診断します。
  2. 顕微鏡検査: 必要に応じて、丘疹の内容物を顕微鏡で観察し、ウイルスの存在を確認します。

治療

  1. 自然治癒: 多くの場合、伝染性軟属腫はやがて自然に消失します。
  2. 局所療法:
  • クライオセラピー(冷凍療法): 液体窒素を用いて丘疹を凍結させて除去します。
  • レーザー治療: レーザーを使用して丘疹を焼灼します。
  • 掻爬(そうは): 丘疹をスプーン状の器具又は鑷子で削り取ります。
  1. 予防とケア:
  • 衛生管理: 手洗いや患部を清潔に保つことで、感染の拡大を防ぎます。
  • 直接接触の回避: 感染者との直接接触や、感染者が使用した物品を避けることが重要です。
  • 掻くこと(掻把)で広がりますので、掻かないことがとても大切です。

予防

  1. 個人衛生: 手洗いやシャワーを頻繁に行い、皮膚を清潔に保ちます。
  2. 感染予防: 感染者との直接接触を避け、タオルや衣類などの共有を控えます。
  3. 免疫力の維持: バランスの取れた食事や適度な運動で免疫力を高めます。

伝染性軟属腫は一般的には軽症であり、自然に治癒することが多いですが、広がりやすい性質があるため、早期の対応と予防が重要です。症状が悪化した場合や、疑わしい症状が見られた場合は、受診をおすすめします。