帯状疱疹(たいじょうほうしん、Herpes Zoster)は、水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella Zoster Virus, VZV)によって引き起こされるウイルス感染症です。このウイルスは水痘(水ぼうそう)の原因となるウイルスと同じで、初感染後に神経節に潜伏し、再活性化することで帯状疱疹を発症します。
特徴
- 初期症状として、特定の神経の支配領域に沿って、神経痛様疼痛、知覚異常、かゆみ、灼熱感、しびれなどの前駆症状が現れます。この時期に軽度の発熱やリンパ節腫脹、頭痛などが生じることもあります。
- その後、数日以内に痛みを伴う小さな水疱が現れます。これらは通常、体の一側面に帯状に分布し、特に胸部、腹部、顔面、首などに見られます。
- 水疱は数日から1週間ほどで破れ、かさぶたが形成されます。
- 症状は通常、2〜4週間続きます。痛みは水疱が治癒した後も続くことがあり、これを帯状疱疹後神経痛(Postherpetic Neuralgia, PHN)と呼びます。
原因
- ウイルスの再活性化:水痘に感染した後、VZVは神経節に潜伏します。免疫力が低下した時やストレス、病気などによりウイルスが再活性化し、神経を経由して皮膚に症状を引き起こします。
診断
- 臨床診断:特徴的な症状と水疱の分布に基づいて診断されます。
- 検査:必要に応じて、抗原検査、抗体検査が行われることがあります。
治療
- 抗ウイルス薬:アシクロビル(Acyclovir)、バラシクロビル(Valacyclovir)、ファムシクロビル(Famciclovir)などが処方されます。これらの薬は、症状の重症度を軽減し、治癒を促進します。
- 鎮痛薬:痛みを和らげるために、鎮痛薬や神経痛治療薬が使用されます。
- ステロイド:一部の患者には、炎症を抑えるためにステロイドが処方されることがあります。
予防
- ワクチン:帯状疱疹予防のために、50歳以上の成人には帯状疱疹ワクチン(シングリックス、ビケンなど)の接種が推奨されます。ワクチンは、帯状疱疹の発症リスクを減らし、重症化を防ぎます。
合併症
- 帯状疱疹後神経痛(PHN):痛みが長期間続くことがあり、高齢者に多く見られます。
- 視覚障害:顔面に帯状疱疹が発生し、目に影響を与えた場合、視覚障害を引き起こすことがあります。
- その他の合併症:皮膚感染症、神経障害、脳炎、脊髄炎などが稀に発生することがあります。
まとめ
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によって引き起こされる痛みを伴う感染症です。早期の抗ウイルス治療と適切な鎮痛管理が重要であり、予防にはワクチン接種が効果的です。合併症の予防と症状の軽減のために、早い目に受診されることをおすすめします。