昆虫刺症(虫さされ)

昆虫刺症(こんちゅうししょう)は、昆虫による刺咬(しこう)や咬傷(こうしょう)によって引き起こされる皮膚の反応や全身症状を指します。これには、ハチ、蚊、ノミ、ダニ、アブ、ムカデなどの昆虫によるものが含まれます。以下に、一般的な昆虫刺症の特徴、原因、症状、診断、治療、予防について詳しく説明します。

特徴

  • 刺咬(しこう):昆虫が刺すことにより、毒や唾液を皮膚に注入します。
  • 咬傷(こうしょう):昆虫が噛むことによって、唾液や病原体が皮膚に侵入します。

原因

  • ハチ:スズメバチ、ミツバチ、アシナガバチなどが含まれ、刺されると毒が注入されます。(刺す虫)
  • 蚊:刺されると唾液が注入され、かゆみや炎症が生じます。特定の蚊は、マラリアやデング熱などの病原体を媒介することがあります。(吸血する虫)
  • ノミ:ペットや野生動物から人に移り、吸血することでかゆみや皮膚炎を引き起こします。(吸血する虫)
  • ダニ:森林や草むらで刺されることが多く、ライム病などの病原体を媒介することがあります。(吸血する虫)
  • アブ:噛まれると痛みと腫れが生じます。(吸血する虫)
  • ムカデ:咬まれると強い痛みと腫れが生じます。(咬む虫)
  • ブユ:(吸血する虫)
  • トコジラミ:(吸血する虫)
  • クモ:(咬む虫)
  • ケムシ:(触れることで皮膚炎をおこす虫)

症状

  • 局所反応:刺された部位に発赤、腫れ、痛み、かゆみが生じます。これらの症状は数時間から数日間続くことがあります。
  • 全身反応:重症の場合、特にアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こることがあります。これには、呼吸困難、血圧低下、意識喪失などが含まれ、緊急の医療処置が必要です。
  • 感染症:特定の昆虫刺咬によって病原体が体内に侵入し、感染症を引き起こすことがあります。例として、ライム病、デング熱、マラリアなどがあります。

診断

  • 臨床診断:刺された部位の所見と、症状や状況をもとに診断します。
  • 血液検査:アレルギー反応や感染症を確認するために行われることがあります。
  • 生体検査:刺された部位から病原体を検出するために行われることがあります。

治療

  • 局所治療:冷湿布や抗ヒスタミン薬(かゆみを抑える)を使用します。刺された部位を清潔に保ち、感染を防ぐことが重要です。
  • 痛みと炎症の管理:鎮痛薬(イブプロフェンやアセトアミノフェン)やステロイド外用剤を使用することがあります。
  • アレルギー反応の治療:軽度の反応には抗ヒスタミン薬を使用し、重度のアナフィラキシー反応にはエピネフリン注射が必要です。
  • 感染症の治療:感染症が疑われる場合、適切な抗生物質や抗ウイルス薬が処方されます。

予防

  • 昆虫回避:昆虫が多い地域では長袖、長ズボン、帽子などを着用し、肌の露出を最小限にする。
  • 虫除け剤の使用:虫除け剤を使用する。
  • 周囲の管理:昆虫の発生を抑えるために、住環境や周囲を清潔に保ち、水たまりを除去する。
  • アレルギー予防:過去に重度のアレルギー反応を起こしたことがある場合、エピネフリン自己注射器を常備し、医師の指示に従って使用する。

まとめ

昆虫刺症は、さまざまな昆虫による刺咬や咬傷によって引き起こされる皮膚の反応や全身症状を伴います。適切な治療と予防策を講じることで、症状の管理や重篤な合併症の予防が可能です。症状が重い場合や全身反応が見られる場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。特に、呼吸困難、腹痛、意識消失、血圧低下がある場合はアナフィラキシーショックの可能性がありますので、すぐに救急病院を受診してください。