肥厚性瘢痕

肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)は、皮膚の外傷や手術などによって生じた瘢痕が過剰に盛り上がり、肥厚する状態を指します。これは瘢痕組織が過剰に生成されることで起こり、通常の瘢痕よりも大きく、厚くなりますが、元の傷の範囲を超えて広がることはありません。以下に肥厚性瘢痕の主なポイントを説明します。

特徴

  1. 外観: 赤みを帯びた硬い盛り上がりが見られます。時間が経つにつれて色が薄くなることがあります。
  2. 位置: 元の傷跡の範囲内に限られ、広がることはありません。
  3. かゆみと痛み: 多くの場合、かゆみや軽度の痛みを伴うことがありますが、触ると硬く感じます。
  4. 成長: 傷が治癒してから数週間から数ヶ月の間に肥厚が進行し、その後徐々に安定します。

原因

  1. 外傷: 切り傷、擦り傷、熱傷などの皮膚の損傷。
  2. 手術: 手術による切開部分が肥厚性瘢痕になることがあります。
  3. 炎症: 強い炎症反応が引き金となることがあります。
  4. 個人差: 一部の人は遺伝的に肥厚性瘢痕を形成しやすい傾向があります。

診断

  1. 視診と触診: 医師は瘢痕の外観と触感を確認し、肥厚性瘢痕とケロイドを区別します。
  2. 病歴: 患者の過去の外傷や手術の経過を確認します。

治療

  1. 圧迫療法: 圧迫バンドやガーメントを使用して、瘢痕の成長を抑制します。
  2. ステロイド注射: ステロイドを直接瘢痕に注射し、炎症を抑えて組織の成長を抑制します。
  3. シリコンジェルシート: シリコンジェルを使用して、瘢痕の柔軟性を高め、成長を抑えます。
  4. レーザー治療: レーザーを使用して、瘢痕組織を削減し、赤みを軽減します。

予防

  1. 適切な傷のケア: 外傷後や手術後は、適切な傷のケアを行い、感染を防ぐことが重要です。
  2. 圧迫と保湿: 傷が治癒する過程で圧迫と保湿を行うことで、肥厚性瘢痕のリスクを軽減します。
  3. 紫外線の回避: 傷が紫外線にさらされると、瘢痕が悪化することがあるため、日焼け止めやカバーを使用します。

肥厚性瘢痕は見た目や触感が気になることが多いですが、適切な治療とケアを行うことで改善することが可能です。症状が気になる場合は、受診をお勧めします。